Nero’s備忘録~育休中パパはじめての子育て~

パパ育休真っ最中。パパ育休の布教活動、子育て日記他、備忘録。

【豆知識】育児休業ルール~育児休業は会社のルールではない!~

はじめに&Neroの思うところ

こんにちは、Neroです。

 

私は男性の育児休業取得推進派です。

他でもない自分自身が育児休業を取得して、貴重な時間を得ることができていて、単純にこの貴重な経験を、一人でも多くの世の中で戦うサラリーマンパパさんに得て頂ければな、と思っています。

ところがどっこい、最近知り合った周りの新米パパさん、新米ママさんと話をしていると、意外とこの制度について詳しくご存じ無い方が多くてちょっとびっくりしています。

「育休」は聞いたことあるし、今の時代は女性だけでなく男性にも適応されるもの…って事くらいは知っているけど、うちの会社には制度がないし…という感じで、
はなから自分事として考えていらっしゃらない方が多い印象です。

下記で詳しく触れますが、男女問わず、一般的なサラリーマン(法律上は労働者という言い方になりますが)であれば、所属している会社を問わず、一定の要点を満たしたすべての方が育休を取れます

 

お断りしておきたいのが、今回の記事ではあくまでも「ルール上」のお話のみ触れていきます。
上記で、「一定の要点を満たしたすべての方が育休を取れます」と記載はしましたが、あくまでそれはルール上の話であって、実際には仕事、会社、周りの方、家族、収入等々、ルールの裏には様々な要因で「育休取れない現実」が潜んでいます

2020年の男性育児休業取得率は12.7%。これでも過去最高らしいですが(ちなみに女性の取得率は81.6%)*1、実際問題、様々な要因で男性育児休業の取得はまだまだマイノリティーであるのが現状です。


また別記事で詳しく触れていきたいですが、私も育休取得に苦労しました。
一番最初に相談した上司には「育休?無理やで。奥さん働いてないんやろ?大人二人で一日中何するん?子どもなんて一日中寝てるだけやで」と言われました。

私は子どもが生まれる前でしたし、その上司は2人のお子さんをお持ちでしたので、最初は「そんなもんなんかなぁ」と何も言い返せませんでしたが、今となってはパンチ食らわしてやりたいです。

男性の育児休業取得率が低い理由は様々あると思いますが、大なり小なり、私も経験したような「男性の育児休業に対する理解の低さ」は、女性に対するそれより深刻かと思います

 

個人的には育児休業取得は「会社と労働者の交渉事項」と思っています。ルールだけ振りかざしてもどうにもならないですし、パパさん一人ひとり、職場も家庭環境も違います。ただ、何にしても制度の知識が一歩前へ進むことすらできないと思うんです

私の場合、育児休業取得にあたり複数の上司と交渉しましたが、誰一人国の制度としても、会社の規定としても、育休についてルールを知っている人はいませんでした。担当部署であるはずの人事総務部の人間でも、担当のエキスパートは知っていても、部長は内容ピンと来ていない、という有様でした。


おそらくどの会社も似たような状況なのかなぁ、と思っています。2022年4月から周知・取得意向の確認が義務となるため、この辺りは改善されそうですが。


下記に記した内容は、google先生で「育児休業」と入れればわんさか出てくる内容ではありますが、実は社労士試験合格を目指している私が、自分自身の勉強も兼ねて、要点まとめてみました。

なお、育児休業についての内容は、全て厚生労働所のホームページにアップされている、「育児・介護休業法のあらまし」というパンフレットを参考にしました。

内容についてはミスの無いよう細心の注意を払っているつもりですが、念のためご自身でも参照されることをお勧めいたします。

まずはルールを知り、一人でも多くのパパたちが、育児休業を取得でき、またとない貴重な時間を過ごせますように。

 

 

育児休業とは?

育児休業は、法律で定められた制度です。会社が定めている制度ではありません。定義としては、「労働者が原則としてその1歳に満たない子を養育するためにする休業 」となっています。

 

私も育休取得後、周りの友人だったり出会ったママさんパパさんに「育休中なんです~」という話をすると、「育休があるなんていい会社だね~」と言われたりします。

就業規則育児休業について定めている会社もありますが(私の会社も定めがありました)、就労規則に定めがなくても、一定の取得条件さえ満たせば、「労働者」であれば男女問わず誰でも取れます。ですので、上記リアクションをされると、「あっ、知らないんだな…と」思ったりします。


それも当然そうですよね。法律やら制度やら、縁がなければそうそう触れるようなこともないです。私も十数年今の会社に勤めておりますが、就業規則も始めて読みました…。

 

正式名称を育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」と言い、「育児・介護休業法」が正式な略称なようです。育児休業と介護休業が同じ法律の中で語られているんですね。

歴史は意外と浅く、成立は平成3年(1991年)、施行が翌年から。約30年と歴史といったところでしょうか。

もちろんその間に、様々な改正が行われ、制度としてはより充実した(労働者にとってメリットのある)内容へ変化しています。昨年2021年に新たな改正があり、2022年4月より段階的に施行されていきます(こちらの改正内容については改めて記事にできればと思います)。

現在進行形でブラッシュアップされているんですね。

 

 

育児休業と育児休暇の違いは?

育児休業の正式名称、正式略称については上記で触れました。では、よく混同される「育児休暇」とはなんでしょうか?


いわゆる制度としての「育休」とは「育児休業のことを指します。

「育児休暇」は、育児のために取る休暇の一般的な名称です。例えば「育児のために有休を使う」も育児休暇にあたるわけです。私の場合、溜まりに溜まった有休を消化してから育児休業に突入したため、有休取得中は育児休業ではなく育児休暇にあたります。

 

 

育児休業と産休の違いは?

「育休」と混同して使われているのが「産休」ではないでしょうか。私の幼少期のころ、学校の先生が「産休」されることがよくありました。あの頃は「育休」という言葉がなく、もしかしたらある一定以上の世代の方は、「産休」と「育休」の違いに疎い方もいらっしゃるかもしれませんね。


産休の正式名称は「産前産後休業」です。労働基準法第65条で定められています。

育休が定められているのは、「育児・介護休業法」。産休が定められているのは「労働基準法」。根拠となる法律が異なっているんですね。

育休との大きな違いは、出産に伴う休業のため、女性のみが取得の対象となる点です。

 

産前休業

産前休業は出産前に取得できる休業です。

出産予定日の6週間前(多胎(双子ちゃん以上)妊娠の場合は14週間)から取得可能
取得は任意で、出産予定日ギリギリまで働く…ということも選択としては可能です。
産前休業の期間については、お医者さんが診断する「出産予定日」が起点となります。

実際の出産日が、予定日から遅れることもありますが、出産するその日まで産前休業は取得可能です。(なお、出産日当日は産前の扱いになります)


産前休業については、使用者(会社側)へ請求の必要があります。6週間前以降のこの日から、「産前休業を取りたいです!」という必要があるということですね。

 

産後休業

期間については出産日の翌日から起算となります。

産前休業と異なるのは、ママの意思にかかわらず、産後8週間を経過するまでは労働してはいけないルールになっていて、取得が義務である点です。

これは請求の有無を問いません。「産後休業を取りたいです!」と会社側に言う必要がない、という点も産前休業と異なります。

例外として、産後6週間経過したママが請求し、お医者さんの許可がある場合は就業可能となります。

 

上記の通り、産前産後休業は労働基準法によるものであり、正社員、契約社員派遣社員、パート・アルバイト、雇用形態を問わず、同法で定められている「労働者」全てが対象となります。「公務員」「船員」は労働基準法の一部のみが適応となったり、別の法律や特別法が適応されます。

勤めている会社の就業規則に記載があろうがなかろうが、国の法律で定められている内容です

産休取得を理由にママさんを解雇することは法律で禁止されています。(とはいえ、私の妻は妊娠したことを当時勤めていた会社に伝えたところ、諸々トラブルになり結果会社を辞めた経験があります。この辺りはいずれ別記事にしたいです)

 

 

育児休業は誰がどのくらい取れるの?

産休との違いをしっかり押さえたうえで、本題の育休について確認していきます。

育児休業についても、「公務員」「船員」は育児・介護休業法の一部のみが適応となったり、別の法律や特別法が適応されます。

 

誰が取れるの?

育児・介護休業法では、「事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。」*2としています。

有期契約労働者の場合の申出可能条件*3も含めて、育休が取れない方は下記の通りとなります。

・日雇い労働者
・雇用期間が1年未満の労働者
・1年以内に雇用関係が終了する労働者
・週の所定労働日数が2日以下の労働者
・同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること(有期契約労働者)
・子が1歳6か月(2歳までの休業の場合は2歳)を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと(有期契約労働者)

私と同じようなサラリーマンの方であれば、一番気を付けなければならないのが「雇用期間1年未満」という箇所でしょうか。転職したて、入社したてでまだ1年その企業に勤めていらっしゃらない方は、育休は取れません。

 

どのくらい取れるの?

原則として「子どもが1歳に達するまでの連続した期間」となっております。1歳の誕生日の前日まで、現在のルールでは原則まとまった日数1回のみです。

ただし、下記の事情がある場合、1歳6か月に達する前日まで、さらに2歳の誕生日の前日まで延長ができます。

保育所などへの入所を希望しているが、入所できない場合。
・配偶者の方が亡くなったり、病気やケガなどの理由で養育することが困難になった場合。
・離婚等の事情により、配偶者の方と同居することができなくなった場合。

期間は1日から取得可能です。

 

 

育児休業中の給料ってどうなる?

厚生労働省のQ&A~育児休業給付~をもとに作成しております。

育児休業中の給料の支払いについては、勤めている会社が定めることができますが、ほとんどの会社で給与の支払いはされない定めになっていると思います。その間の生活を支える仕組みとして、雇用保険から育児休業給付金が給付されます。

育児休業育児休業給付金の仕組みは別のルールに基づいているため、育児休業が取れる=育児休業給付金がもらえるという訳ではありませんが、給付金の条件は育児休業取得条件とニアイコールになっているため、育児休業を取れるほとんどの方が、給付条件を満たすと思います。

具体的な条件とは、下記のとおりです。

育児休業を開始した日より前2年間において、被保険者期間が12か月以上必要
育児休業開始時において、同一の事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、子が1歳6か月までの間に労働契約が更新されないことが明らかでないこと(有期契約労働者のみ)

 

また、具体的にもらえる金額については、1か月あたり下記の通りとなります。

「休業開始時賃金日額×30日×67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%です)」

休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前6か月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除きます。)を180で割った額です。所謂「手取り」ではなく「額面」の給与で計算するんですね。

例としては、

・平均して月額15万円程度の場合、育児休業開始から6か月間の支給額は月額10万円程度、6か月経過後の支給額は月額7,5万円程度
・平均して月額20万円程度の場合、育児休業開始から6か月間の支給額は月額13,4万円程度、6か月経過後の支給額は月額10万円程度
・平均して月額30万円程度の場合、育児休業開始から6か月間の支給額は月額20,1万円程度、6か月経過後の支給額は月額15万円程度

これだけ見ると、少し心もとないでしょうか。

ただし、育児給付金の給付を受けている間、社会保険料(厚生年金、健康保険料)の支払いが免除されます。これはかなり大きい!もともと給与として受け取っていた額からすると当然収入は減るわけですが、これだけもらえれば、なんとかなる気がしませんか?

家庭事情は三者三様だと思いますが、給付金として頂ける金額を確認して、これなら生活は何とかまわりそう。あるいは多少の貯金を切り崩す程度でなんとかなりそう、と判断することができるのであれば、金銭的な面からも育休について検討してみては如何でしょうか。

 

 

最後に

私の場合、育休について初めて検討したのが、妻の妊娠がわかってすぐの頃でした。まずは会社の就業規則を確認しました。

会社の就業規則には育児休業についての項目の記載がありました。よくよく調べていくと、法律で定められた範囲のものが、規定として謳われていました。法律で決められた最小限を、会社のルールとして定めている、ということですね。おそらくほとんどの会社がそうだと思います。

福利厚生の充実を図って法律以上に労働者に優しい規定がある会社もあれば、逆に就業規則育児休業について規定がない会社もあると思います。

繰り返しになりますが、育休は会社ではなく、国の法律で定められた労働者の権利です。育休を検討されている方がいらっしゃれば、まずはその事をしっかりと認識頂くことが必要だと感じております。

話を少し戻しますが、私の会社の規定には「育児休業中は無給とする」の一文があり、その一文を見つけた段階で、それ以上調べることもせず、いったん育休取得を諦めました。なんという胆略的な・・・。ここで約半年弱、育休について検討することをストップしてしまいます。

ここでもう一歩踏み込んで調べ、育児休業給付金の制度までたどり着いていれば、半年分、いろいろな事がスムーズに運べたかもしれません。

結果、会社との育休交渉が出産予定日の1か月半くらい前からになってしまい、さらに私自身が体調不良に陥ってしまった事情もあり、会社との育休交渉はすったもんだしました。最終的に私の希望通りにさせて頂いた会社には感謝しております。このあたりの話については、改めて記事にしたいです。

 

交渉中、ある先輩から声かけ頂いたのが、私の背中を押してくれました。

「育休中は会社はNero君に対する給料支払いは止まるし、折半している社会保険料の負担も免除になる。会社にとっても経費減になるんだよ。いままでNero君は高い社会保険料払い続けてきたんだから、正々堂々取ったらいいじゃん」

業務上、周りの皆さんに迷惑をかけてしまうとか、育休明けに帰ってくる場所があるんだろうか、という不安は今でも拭えていませんが、育休を取ることの後ろめたさが、少しだけ和らいだような気がしました。

 

繰り返しになりますが、ここまで書いたことはあくまでもルール上の話であり、実際の男性育児休業の取得はまだまだマイノリティーです。

ただ、2022年4月に改正された育児・介護休業法が施行されます。さらに一歩進んだ内容のルールに変更されることや、わずかながらも、年々男性育児休業取得率が上昇していることを考えると、少しずつでありますが、新しい家族・子育てのあり方に変化していっていると感じています。

私自身、育休取得を決意するにあたり、単刀直入に言えば会社での出世は諦めました。まだ育休取得は始まったばかりで、この選択が後々後悔することになるのかはわかりませんが、少なくとも現時点は仕事を離れ、妻と子供との時間や自分自身の価値観を見直したりする、本当に貴重な時間になっています。

 

 

少々長い記事になりましたが、一人でも多くのパパさんが育児休業を取得され、それが当たり前の世の中になることを願うばかりです。

*1:厚生労働省「雇用均等基本調査」より。

*2:育児・介護休業法第6条

*3:育児・介護休業法第5条